澤村こうじ法律事務所

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コラム2024年0731

名言紹介(40)「末広厳太郎 その3」

 
 
 末広厳太郎の名言紹介を続けます。

「 私は今ここに、法学が全体としていかなる学問であり、もしくはあるべきかを説こうとするのではない。また、法学教育上法学のいかなる方面に重きを置くべきであるかを論じようとするのでもない。これらの点については人々によっていろいろ考えがあり、私としてもまた多少の考えを持っているが、ここではその問題に論及(ろんきゅう)せんとするのではない。現在全国の官私立大学において法学教育の名において教えられているものをそのまま与えられた事実として認めつつ、それを基礎として、法学生は一般にいかなる考え、いかなる態度で講義を聴き、また研究すればいいのか、そのことについて私の考えていることの一斑(いっぱん)を、新入学生諸君の参考のために述べてみたいのである。
 現在全国官私立の諸大学で与えられている法学教育の内容は、主として法律諸部門に関する所謂(いわゆる)解釈法律学的(かいしゃくほうりつがくてき)の教育である。無論、法理学(ほうりがく)のように法律に関する哲学的考察を目的とする講義も行われているし、また法制史(ほうせいし)のように法律事実学の部門に属するものと考えられる講義も行われている。その他各教授の考え次第によって、解釈法律学的の講義のなかに織りまぜて法律事実学的、もしくは法律社会学的のことを比較的多く教えようとする講義も行われているようであるが、現在実際に与えられている法学教育の大部分は解釈法律学である。個々の教授の意識的に意図するところの如何(いかん)にかかわらず、また教授方法の如何にかかわらず、実際行われているものは、主として解釈法律学的法学教育である。」

 名言紹介(38)でご紹介したとおり、「解釈法律学」というのは「実定法の意味・内容を解釈し、体系的に研究する学問」のことです。これが諸大学における法学教育の内容の大部分をなしている、ということを末広は言っているわけですね。
 それでは今回はここまでとして、次回はこの続きからご紹介したいと思います。

(文責:弁護士 澤村康治)

 
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