名言紹介の第50回目は明治・大正・昭和期の警察官僚・政治家:藤沼庄平の言葉です。
「私のことを運のいい奴だ、棚ぼた式の男だというが、ぼたもちが落ちてくる真下にまで行く努力をしない奴には、決してぼたもちは口に入らないのだ。」
上記で言う「棚ぼた」は勿論、ことわざの「棚からぼたもち」のことであり「思いがけない幸運に恵まれること」という意味です。藤沼は戦前・戦後をまたいで2度にわたり警視総監に就任したため、そのような声が多かったのでしょうね。
上記言葉は冗談っぽくも聞こえますが実は、運・運命などと呼ばれるものに対峙するにあたっての、人間の努力・工夫などのあり方に関する基本姿勢について、本質を鋭く言い表している名言ではないかと思います。
すなわち人間はどの棚からぼたもちを落とすか程度のことすらコントロールできないほどの微々たる存在だが、だからといって諦めてしまうのではなく「これまでの傾向からすると、どうやら次はあの棚からぼたもちが落ちてくるのではないか?」などと自分なりに知恵を絞ったりしながら、次にぼたもちが落ちてきそうな棚の真下にまで行く努力をひたすら続けるべきだ、という気概を感じさせる名言だと思います。
(文責:弁護士 澤村康治)