末広厳太郎の名言紹介を続けます。
「 法学教育の目的は以上のような点にあるのであるから、新たに大学に入学して法学研究に志す諸君は、よくそのことを念頭に入れて学習態度を決める必要がある。さもないと、折角(せっかく)の勉強も十分の成果を収め得ないことになりやすい。
学生として先(ま)ず第一に必要なのは、教授が講義を通して示してくれる法律的の考え方を理解して、これを自分のものにするよう力(つと)めることである。現在我が国の大学では、主として講義の形式で教育が行われており、演習や米国風のケース・メソッドのように、直接法律的考え方の鍛錬を目的とする教育方法はあまり行われていないけれども、講義のなかで教授自らが――意識的もしくは無意識的に――その考え方をやってみせているのであるから、学生としては法典法条(ほうてんほうじょう)の解説等によって与えられる知識を蓄積することのみを考えずに、常々(つねづね)教授のやってみせる考え方を習得して、これを自分のものにするよう努力しなければならない。」
現在の我が国の大学法学部や法科大学院では、講義形式の教育方法だけでなく、演習(討論形式のゼミなど)やケースメソッド(討論形式の裁判例研究など)も当たり前に行われているので、末広の時代の教育方法から着実に進歩しているんだなあと感じます。
それでは今回はここまでとして、次回はこの続きからご紹介しましょう。
(文責:弁護士 澤村康治)