名言紹介の第36回目は16世紀フランスの哲学者:ミシェル・ド・モンテーニュの言葉です。
「世界で最も素晴らしいことは、自立の方法を知ることである。」
モンテーニュの晩年には「絶対王政」で有名なブルボン朝が始まったことからすると、上記で言う「自立の方法を知ること」という言葉は「生命・自由・基本的人権・民主主義などが、法の支配のもとで適正に保障されていること」と言い換えることができるのではないかと思います。
現代日本に生きていると「これらが保障されているのは当たり前のことだ」とついつい思ってしまいがちですが、実は全く当たり前のことではないですね。
例えば全体主義国家・専制国家・独裁国家などでは、権力者の意に添わない表現行為をしただけで(精神的自由が保障されていない)、突然、秘密警察によって身柄を拘束され拷問され虐殺されたり、拷問によって虚偽の自白をでっち上げられ適正な裁判も受けられないまま死刑にされたり(生命や身体的自由が保障されていない)、全財産を没収されたり(経済的自由が保障されていない)などというようなことが、権力者の恣意によっていくらでも行われてしまうわけです(法の支配ではなく、人の支配)。
この辺りをよく考えてみると、モンテーニュの上記名言は現代においても非常に重要な指摘だなあと強く実感します。
(文責:弁護士 澤村康治)