澤村こうじ法律事務所

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コラム2023年0529

名言紹介(26)「森鴎外(もりおうがい) その1」

 名言紹介の第26回目は明治時代~大正時代にかけて活躍した作家・陸軍軍医:森鴎外の言葉です。
 鴎外が津和野(つわの。現在の島根県津和野町に所在。)出身者たちの集いで講演した際の言葉であり、かなり長いので多数回に分けてご紹介していきたいと思いますが、要点を先述しておくと「次々と現れる新しい物事や状況に、やたらにあくせく飛びついて右往左往しながら小器用に立ち回ろうとするよりも、どんと構えて融通無碍(ゆうずうむげ)に対処する気構えでいた方がどうやら良いのではないか。」というように表せると思います。だいぶ、ぼんやりした要約ですが笑

「私は話をすることが非常に下手なので、話をしろと云(い)われると實(じつ)に氣(き)になつ(っ)てならない。若(も)しこれが前以(まえもっ)て知れてゐ(い)たならば、今日などは來ないのかも知れない。併(しか)し出し拔(ぬ)けに、奇襲を受けたや(よ)うに、豫告(よこく)をせられたから、已(や)むを得ず此處(ここ)にすわつたのです。扨(さて)題があるかと思つて色々考へ(え)て見ましたが、題がない。雜誌を見ると蓮法寺謙(れんぽうじけん)と云ふ(いう)人が津和野人(つわのじん)の性質と云ふことに就(つい)てお話になつてゐる。あれを私は大變(たいへん)に面白く思つて讀(よ)んだ。どう云ふ人か私は知りませぬし、あの人の説を批評するのでも反駁(はんばく)するのでもありませぬが、先刻(せんこく)から同じ事に就いて色々考へて見ましたから、詰まらぬ事を話します。津和野の人は小才(こさい)だと云ふことが書いてある。其處(そこ)に圏點(けんてん:文字のそばに強調のために記す点のこと。)が附けてあるから話の要點(ようてん)であつたのでせう(しょう)。さう(そう)云ふような心得は私も多少持つてゐる。」

 まだまだ前フリの段階ですが今回はここまでにして、次回はこの続きからご紹介したいと思います。

(文責:弁護士 澤村康治)
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